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果てのない海に呑まれて
第8章 還らない者
レオンは月明かりにぼんやりと輝くリリアの髪を撫でながら続ける
「金の髪に青い瞳の女など大勢いる。私はお前だからこそお前に惚れたんだ」
惚れたんだーーー
リリアの動揺がまた大きくなる
それを悟られないよう、リリアは小さく笑ってみせた
「随分と口が巧いのね。そうやって言えば女はみんな悦んで貴女を受け入れると思ってるんでしょう」
「ふ……まぁそう思っていればいいさ」
レオンには全てお見通しだったが、リリアの反応が面白くてわざと曖昧な言葉を投げ掛ける
「ただし」
一転して真剣な声音になる
「お前を妹の代わりに傍に置いているということは絶対ない。誰もあいつの代わりにはなり得ない」
「……大切な人だったのね」
レオンの少し強まった語気をリリアは意外に思った
他人のことなど気にしない、冷たい心の持ち主だと思っていたのに。
もし彼に故人を悼む気持ちがあるのなら、今の彼女にはそれが痛いほど分かる
「会いたいと思う?」
「……」
「……どんな人だったの?」
「……」
沈黙が流れる
レオンはじっと何かを考えるように彼女を見つめていた