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果てのない海に呑まれて
第8章 還らない者
「……フッ」
微かに微笑んでリリアの髪を梳く
"ただの興味と同情のつもりが、随分と深入りしてしまったな。またミゲルにからかわれる"
レオンはそのことに軽くため息をつきつつ、彼女を優しく愛で続けていたーーー
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「……ん」
リリアは体に感じる温もりに目を覚ました
温かいベッド
暖かい日の光
あたたかい、人の−−−
「んっ!?」
自分ではない何者かの体温を感じてぱっと目を開く
「起きたか」
声のする方へ目をやると、自分を見るレオンの姿が−−−
「なっなっ、なんで!?」
思わず腕を突っ張って体を引き離した
「何故って……覚えていないのか?」
「……」
「昨日も思ったんだが、お前、寝起き悪いな」
「……あ」
思い出した
父と一族を想って泣いたのを、レオンが抱き留めてくれて−−−
「あ、あの、昨日のことは忘れて……」
「……出来ない相談だ」
顔を赤くした彼女にレオンは愉しげな笑みを浮かべる
彼女の腕を掴むと、再び自分の方へ引き寄せた
「昨日はあんなに素直だったのにな」
「あれは違っ……」
ますます焦るリリア