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果てのない海に呑まれて
第8章 還らない者
「ミゲル!」
しばらく行ったところでレオンは廊下の先に見つけたミゲルを呼び止めた
「レオン、部屋にいなかったんで探したぞ。今までどこに……」
近くまで来てミゲルは口を接ぐんだ
レオンの体に残る微かな香りが漂ってくる
「まさかまた彼女の所か?」
「まぁな」
ミゲルはそう言うレオンの顔つきが昨日までと僅かに違うことに気が付いた
「ふん……何かいいことでもあったのか?」
昨晩の予想通り、からかうような笑みを向けてくる
「……お前のそういう所、気に入らないな」
毎度毎度、質の悪い外野に回るミゲルにレオンはずばっと告げた
「ハッ、それはお互い様だろう。俺もお前のそういうスカした態度が気に食わないからな」
ミゲルも言い返し、二人の間に不穏な空気が漂うーーー
かと思いきや、一瞬睨み合った二人はすぐフッと笑って柔らかい雰囲気に包まれていた
「まぁ良い。とりあえず、もう少ししたらリリアがお前の元に来るだろう。今回はちゃんと食べさせろよ」
「ああ」
「あと暇そうにしてたら相手してやれ。時々は様子を見に行くが、何かあったら呼びに来い」
「分かった」