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果てのない海に呑まれて
第9章 理解し得ぬ想い
次の瞬間、一気に頭が軽くなった
そして同時に顔の横に落ちてくる長い金髪
「え、ちょっと! 何してるのよ!?」
せっかく時間をかけてきつく結わえてもらったものを。
「お前は下ろしていた方が似合う。その金色が揺れて光を弾いているのがとても綺麗だ」
「だからって勝手にこんな……私もう大人っていって良い歳なのよ! これじゃまるで娼婦……」
「そうやっていちいち我が儘をいうあたり、まだまだ子供だ」
レオンは笑って受け流すと、今度はミゲルの方を向いた
「お前もこの方が似合うと思うだろう?」
「……さぁな」
"……?"
今日のミゲルはレオンに対しても不機嫌だ
というより、もしかしてレオンが原因なのではないかとリリアは思った
「なんだ、素直じゃないな。自分で下ろしたかったのか?」
「違う」
ツレない部下にレオンは眉を吊り上げて肩を竦める
「まぁ良い。それで、お前たちは何を言い争っていたんだ? 普段仏頂面のミゲルがあそこまで感情を表に出すとはな」
「いちいちそんなこと言わなくて良い。ただこいつが、やることがなくて困っているから使用人と過ごそうなどと言い出しただけだ」
「ああ、なるほど」