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果てのない海に呑まれて
第9章 理解し得ぬ想い



レオンは納得したように頷いてリリアを見た



「シエラではいつもそうやって過ごしていたのか?」

「ええ、まぁ。使用人というか、お父様が話し相手をあてがって下さって」

「そうか。だがこの屋敷であまり動かれてもな…客も多いし……ああ!」



レオンはぱっと顔を上げてミゲルの肩にぽんと手を置いた



「お前、話し相手になれ」

「は!? なんだそのさも名案を思い付いたというような顔は! 俺は絶対に……」

「どちらにしろリリアの見張りはお前だろう。ちょうど良いじゃないか」



だがもちろん、乗り気なのは彼一人だけだ



「嫌よ。彼と話すことなんて何もないわ。……貴方ともだけど」



リリアもわざわざ辛辣な言葉を付けてまでの完全拒否をする



「話すことがないのなら作れば良い。リリア、お前本は好きか?」

「え……物語とかならよく読んだけれど」

「修辞学や議論法は? 大法典については一通り知っているか?」

「えっ?」



リリアは思いっきり顔をしかめた

別に言葉の意味を知らないわけではないが−−−



「やらないわよ、そんなの。女性に必要なのは学問ではなく処世術。他愛もない会話と女性としての魅力だけで家を守っていくものだって教わったもの」

「なるほど。ではお前はまだまだだな」



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