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わたしはショートケーキが嫌い
第3章 殺人犯とJK
白くて細くて女性みたいにしなやかな手は、昨夜の血まみれの手とは180度違っていて綺麗だ。
人を殺せそうにない細い指が私の冷えた右手を温める。
「ねぇ、ダークヒーローさん?」
「ん?」
「どうしてあなたは私を助けたの?」
聞きたいことは山程ある。
けどまず先に聞きたいのは、殺人犯になってまで私を助けた事だ。
私達は顔見知りでもない赤の他人。
出会ったのは昨夜がはじめてのはずなのに、どうして彼は私を助けたのか。
自分の人生を棒に振ってまで。
きっとまだそんなに歳を取ってないと思う。
私とはさほど年齢が変わらないだろう。
これから先楽しい事は沢山あるはずなのに、どうして?
男は可愛らしい丸い目をキラキラ光らせながら答えた。
「君は僕の一部だから」
「どういうこと?」
「君は唯一無二の存在なんだ。僕にとって光なんだよ君は」
「宗教じみたこと言うね」
“僕にとって君は光”なんて、まるで私を崇拝する信者みたいだ。
それに私達は昨夜初めて会ったはずなのに‥‥。
この人は私を知っていた?
つまり、私のストーカー?
「ああ、ある意味宗教みたいなもんだよねぇ。僕は激しく君を崇拝してるし、君のためなら死ねるよ?」
「私のために、死ねる?よく知りもしない私のために?」
「君が僕を知っていなくても僕は君を知っている。だから僕は君のために死ねるよ。君はそれだけの価値がある女の子だ」
男の台詞でほとんど確信が持てた。
やっぱりこの男、ストーカーの可能性が大きい。