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【寵姫】籠の中の牝獣たち
第2章 第一章 歪み
その場所が帯びる色は、乳首と同じだと言われる。それは、色素の沈殿が体組織の中で同じように進むからだと聞いたことがある。

鏡花の胸の先にも同じ薄い桃色が彩りを添えているのは、それはそれで素晴らしく良いことだろう。処女の膜と同じ、体の一部の色素や何かの有無に、まるで信仰のような憧憬を抱く男性がいるのだから。

だが、智恵子は目の前のものをこそ愛おしく、また有り難いものではないかと思っていた。仲睦まじい男女の間柄でも、互いを尊重し認め合う夫婦仲でも、この場所をさらけ出すことは容易ではない。誰しもが、己の体の中でも汚れた場所だと言い、必死に秘匿しようとするのだから。

ならば私の前にあるのは、誰の目にも届かない高山の山頂で、暖かい春を待つ若い蕾に等しいのではないだろうか。

まさに高嶺の花ですね、などと一人ごちて、智恵子は台車から綿棒と小さな薬瓶を取り出した。薬瓶の中身は消毒用アルコールだ。万が一、腸内に入れてしまったら、腸が持つ高効率の吸収能力で、あっという間に鏡花は命に関わるほど泥酔してしまうだろう。

智恵子もその程度を解さない馬鹿ではない。綿棒の先端に軽くアルコールを含ませると、鏡花の後ろの穴に触れた。

冷たい消毒液を含んだ綿棒が触れると、それは驚いたようにキュッと締まった。

「お嬢様、表面をきれいにしますね」

智恵子は片手で尻間を割り開くと、無防備になった肛門、その皺に沿って綿棒を動かし始めた。
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