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横浜発 7:54
第4章 岸
あの日は、終電間近の時間に、ホテルから家まで矢野さんはタクシーで送ってくれた。
「明日の日曜日はどうしても外せない仕事があって出勤なんだ」
とタクシーの中で私の手を離さずに言う。
「アー行きたくねぇ」
と少年のようにすねる。
「付き合ってすぐに、一緒に過ごせなくてごめん」
「しかも来週は木曜日に各支社からの研修で本社に
ありえねぇ人数が集まるからずっとその準備なんだ。
帰りは遅くなると思うから、会えないと思う」
と、あからさまにがっかりした。
でも月曜日の朝は、また横浜駅で私を待ってくれて
2分間、隣の吊皮を握る。
そんな毎日が続いた。
夜は会えなかったけど、毎朝電車で会えるから
全然寂しくはなくて。
その木曜日に、横浜駅はあり得ない人数でごった返していた。
まさか!矢野さんの会社の研修に来た人たち?
そんなことを思っているうちに矢野さんと人ごみの中、何とか会えて
人の流れるままに電車にギリギリ乗り込んだ。
矢野さんの背が高くなかったら、会えなかったかも。
いつもは混んでいても、ここまで混んでいない下り電車で
今日は吊革につかまる事さえできなかった。
「明日の日曜日はどうしても外せない仕事があって出勤なんだ」
とタクシーの中で私の手を離さずに言う。
「アー行きたくねぇ」
と少年のようにすねる。
「付き合ってすぐに、一緒に過ごせなくてごめん」
「しかも来週は木曜日に各支社からの研修で本社に
ありえねぇ人数が集まるからずっとその準備なんだ。
帰りは遅くなると思うから、会えないと思う」
と、あからさまにがっかりした。
でも月曜日の朝は、また横浜駅で私を待ってくれて
2分間、隣の吊皮を握る。
そんな毎日が続いた。
夜は会えなかったけど、毎朝電車で会えるから
全然寂しくはなくて。
その木曜日に、横浜駅はあり得ない人数でごった返していた。
まさか!矢野さんの会社の研修に来た人たち?
そんなことを思っているうちに矢野さんと人ごみの中、何とか会えて
人の流れるままに電車にギリギリ乗り込んだ。
矢野さんの背が高くなかったら、会えなかったかも。
いつもは混んでいても、ここまで混んでいない下り電車で
今日は吊革につかまる事さえできなかった。