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横浜発 7:54
第1章 J
「あ、おはようございます」
相手は昨日の挨拶の時、私が誰なのかはっきり分かっていたらしく
横浜駅の柱に寄り掛かって―――たぶん私を待っていた。
そのまま2人で人の流れに身を任せるように乗車して。
隣のつり革なんか持ったことがないのに。
自然に隣に並んで立った。
「昨日はビックリしたよ」
「すみません」
恥ずかしくて、うっすらと顔が赤くなるのが自分でも分かる。
「一瞬誰だか分らなかった」
私は今まで分かりませんでしたっ!
「あれってさ?ナンパだと受け取って良いんだよね?」
え?
恥ずかしさも忘れて、今度は私が彼を凝視した。
「あ、あの」
間違いでした、と声に出ない。
ナンパのフレーズに、車内の周りの人たちも耳を澄ませているのが分かる。
「はい。名刺」
思わず受け取ったその名刺には
有名な会社名と名前があった。
「横浜ホールディング・・・」
「あ。知ってる?」
日本人で知らない人はいないと思う。
横浜からたった2分のその1駅は、会話をするにはあまりにも短くて。
あっという間に、また人の流れのままに下車した。
相手は昨日の挨拶の時、私が誰なのかはっきり分かっていたらしく
横浜駅の柱に寄り掛かって―――たぶん私を待っていた。
そのまま2人で人の流れに身を任せるように乗車して。
隣のつり革なんか持ったことがないのに。
自然に隣に並んで立った。
「昨日はビックリしたよ」
「すみません」
恥ずかしくて、うっすらと顔が赤くなるのが自分でも分かる。
「一瞬誰だか分らなかった」
私は今まで分かりませんでしたっ!
「あれってさ?ナンパだと受け取って良いんだよね?」
え?
恥ずかしさも忘れて、今度は私が彼を凝視した。
「あ、あの」
間違いでした、と声に出ない。
ナンパのフレーズに、車内の周りの人たちも耳を澄ませているのが分かる。
「はい。名刺」
思わず受け取ったその名刺には
有名な会社名と名前があった。
「横浜ホールディング・・・」
「あ。知ってる?」
日本人で知らない人はいないと思う。
横浜からたった2分のその1駅は、会話をするにはあまりにも短くて。
あっという間に、また人の流れのままに下車した。