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仕置きの館
第4章 願い、そして……
三井はゆっくりとしゃがむ。

全裸で上体だけを起こし、
ヘラヘラ笑いながら『ふぁ~ひぁ!』と言う優。



『佐久真教官!
異状事態です』
三井はすっくと起立すると、
佐久真に報告をした。



咲子がバスルームに入っている。


ガラス扉の前で犬を携え立てっていた佐久真。
『ううむ。
痴呆か。
____これは、別の施設送りだな。
三井、田中優を東条所長室に連れて行け。
所長の判断に委ねるのだ』






『はいっ!!
おい、立て!』
三井は佐久真に敬礼をすると、
素っ裸の優を抱えた。



優の目は何も見ていないように虚ろで、
手足をジタバタさせ『ふぁ~!
ひぃー!ふぁ、ふぁ~』とケタケタ笑っている。





その姿は____虚ろな目を除けば____小児が笑っているようだ。




なつみはゾッとした。


あゆみも怖いのだろう、
壁にヨロヨロッと手を着く。







三井は『こら!!大人しくしろ!』と手こずりながら優を運ぶ。




『ふぁふぁ!ひぃー、ふぁ~~~………………』


優の壊れた声が遠ざかる。






『べ、別の施設ってなに………………?』
なつみの口から疑問が溢れる。


佐久真は小さな声をめざとく拾うと、
『厳しい更生プログラムに耐えきれず、
まれにああやって痴呆を発症する女もいる。
いわば〔とこなをし〕附属の痴呆症対応施設だな。
そこに収監され、
正常な脳に戻る治療を受けるのだ。
戻ると再びこの〔とこなをし〕に収監され、
更生プログラムを続ける』
淡々と述べた。





(____てことは……………
壊れても、逃げられないんだ………………)

なつみは〔とこなをし〕の異常さに、
背中が粟立った。



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