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仕置きの館
第3章 共同訓練
『…………………だったら……………………
あなたはどうなの?』

絶望の極みに達したなつみ。

しぬことも出来ないと分かったら、
逆らう言葉が口を衝いた。


『何だ?』

背後に居る筋肉質な男に、
食ってかかる。

『あなたは、ちゃんと奥さんとセックスしてるの?!
必ず悦ばせてくれてるの?
自分はどうなのっ』

振り返ると牙を剥くようにがなる。

追いつめられた鼠も、猫に飛びかかる。





『____私は〔国〕から派遣された職員だ。刑罰発足のために何年もかけて訓練を受け、このためだけに生きている。
家庭も妻も親も無い』




なつみは目を丸くした。


『……………そんなに前から……………?!!』



佐久真は頷く。
『当然のことだ。
少子化は今に始まった問題じゃない。
私は言わば国策のために身を挺した志願兵のようなものだ。
従って家族・妻・親はない。
もっと言えば籍もない』



『…………………………嘘』



冷酷な眼差し。
鍛え上げたのだろう強靭な肉体。
短時間で復活する、精力。



俄には信じがたい。

けれど、
なつみには目の前の男から出た話に「そんな訳がない」と反論する理由もなかった。




辻褄は合う。


位置はどこだか知らないが、
山の中にこんな大きな施設を建てるのは個人の遊びじゃ出来ない。

そして人間味のない男たち。

怪しげなカルト教団にも見える彼らは、
単身この施設____とこなをし___に居て常にわたしたちを見張ってる。


家族、まして妻や子供がいたら出来ない。




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