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第1章 嵌められた手錠

『あたしだってそんなに重く捉えてなかったわよ！
セックスレスなんて、仕方ないじゃないよ………』

ウェーブヘアの女性は悔しげに涙を滲ませた。



隣に座っているショートカットの女性が『子供が出来ないのは仕方ないし…………
そんな理由で刑罰なんてあり得ないよ』
と小さな声を震わせた。





『そんなぁ……………

あっ！！
3ヶ月まえって、新婚旅行中だったから聞いてなかったのかも？！
セックスレスなんてなってないのに！

確かにユウくんが忙しいから回数は減ったけど………………………』
なつみは少し現状が見えてきた。



『私、
ダンナが単身赴任でそんな機会滅多に作れないのに。
酷すぎるわ』

黒髪ロングの女性が淡々と呟いた。




『……………てことは、
子供がいるセックスレスの夫婦はOKなの？』
なつみは冷えてきた頭で整理した。



『そうよ。
夫婦２人だけ・病気または障害もなしで夜の営みが無い場合、
嫁の怠慢が原因なんだって』

ウェーブヘアが苦々しい口調で話す。



『あ、
だから〈家庭怠慢罪〉？！』

なつみは警察官が言っていた罪名を思い出した。



『でも夫婦の営みが無いなんてどうやって他人に分かるの？』

なつみは新たな疑問が浮かぶ。


ショートカットの女性がため息を吐いた。
『家庭ゴミよ。
営みがあれば、自然に避妊具や固まったティッシュがゴミに出るでしょ？
3ヶ月まえ、新しい刑罰ができてから家庭ゴミはすべて〈国〉の職員がチェックしてるのよ』






『ええーーーーー！！
プライバシー侵害じゃん～！
あり得ない……………。
避妊具って………………』
なつみは大きな声で嘆いた。