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仕置きの館
第3章 共同訓練
____ドサッ。


〔西の1〕の就寝部屋で敷き布団に投げられたなつみ。


朦朧とした意識。

シャワーで濯がれボディーソープで洗われ、
洗車場のような機械に通され風を受けたあと佐久真に担がれたのだ。

履いていた下着を再び着けられ、
作業着を被せられて。



もう、涙も枯れてしまった。



ボーッと心神喪失状態で布団に倒れたまま。



佐久真は『正午まで就寝してよし。
食堂で昼食を摂りその後訓練開始だ』
と言い放つ。


いつの間にやらまた白装束になっていた。



精魂尽きたなつみ。




『____ねぇ!
あなたも早く終わったの?』

声をかけられる。


『………………ふぇ…………』
「へ?」と反応したつもりが声にならない。


『あたしよ、
仁保咲子。
あたしも「内襞がこなれてる」とかいう理由で朝早く隔離室から出れたの』



ウェーブヘアの、メイクアップしていた女性だと気づく。



もっともアイラインは隈のように広がり、
下まぶたにマスカラのあとが点々とある。



『____大丈夫?
段々目が覚めてきたのよ、あたし。
理不尽極まりないわ、こんな仕打ち』


なつみは動けない。

咲子の左手がなつみの背中を擦る。


……………柔らかい。
あたたかい……………………



なつみは人の温もりを久しく感じた。


こんな柔らかかったっけ、 
人の手って。


そう思ったら枯れたはずの目から、
ぽろっと涙がひとつぶ落ちた。


『あなた、確か………20歳よね?
酷すぎるわ…………
あたしは殴られて磔に張られた。
棒で叩かれて………おか…されたわ』
言い辛そうに、
咲子は述べる。




『…………………ちがうことを、され……ました』
なつみはそう言うのがやっとだ。





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