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仕置きの館
第3章 共同訓練
なつみはワンピースを着て海に来ている。麦わら帽子を被り、素足にサンダルだ。
もちろん、ユウくんと手を繋いで。
波打ち際を歩く2人。
晴れて夫婦となった2人は、
見つめ合い微笑みながら歩く。
「____あ!」
なつみの麦わら帽子が風で飛んだ。
転がる帽子に、
ユウくんが駆け出す。
なつみの左手を離して。
「ユウくん…………!」
小走りに駆ける愛しい悠大。
なつみも駆け出した瞬間…………
ゴウッと地響きがした。
振り返るなつみ。
波が高く高く広がっていた。
「きゃああああ!」
驚いてダッシュする。
逃げる、逃げる、逃げる。
ユウくんは遥か先を走っていた。
「まって!ユウくんまって」
波は黒くなり、
粘り気のある物体に変わっていた。
「きゃあああ!
何?!!」
波がなつみの頭上に上がった。
黒い粘り気が、
茶色くなる。
便のような悪臭を放ちながら、
なつみを襲う。
『…………いやあああーっ』
ガバッと起き上がる。
____目の前には、畳張りの部屋があった。
手元を見ると、青い作業員………
はーはーと息を吐く。
夢か…………
心臓がバクバク跳ね、
汗をびっしょりかいていた。
鼾が聞こえた。
隣を見ると、咲子が寝入っている。
なつみは現状を思い出した。
ドキドキドキドキと脈打つ。
はー…………、はー…………と深呼吸する。
『ひいっ…………』
咲子が小さく叫び、
なつみはビクッとした。
眉間に深いシワを寄せて、
『う…………、ううっ…………』
と唸りながらシーツを握る咲子。
うなされているのだ。
わたしと同じように……………
寝入っているのも疲れ果てたからだろう。
こんな場所で健康的に眠れる訳がない。