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仕置きの館
第3章 共同訓練
『……………ユウくん……………』
なつみは、
左手の薬指のリングに唇をつけた。


くすんだ石にしか見えないダイヤモンド。



しかし、
今のなつみには石だけしかよすがにできない。







『…………ぎゃっ!!』
咲子が飛び起きる。


顔は蒼白で、
なつみと同じように胸に手を当てはーはー深呼吸していた。


コツコツと足音がした。
佐久真だ。
ここの男たちは皆、運動靴を履いている。
スリッポンのような丸みを帯びた白い靴。




『____起床したか?
君たちは優秀のようだな。
まれに失神したまま絶命する女もいるというのに。
さあ、布団をたたみなさい。
あと10分で正午になる。
食堂へ向かうぞ』


なつみと咲子は視線を合わせた。

互いに、
不安いっぱいだと分かる。


起き出して布団を三つ折りに重ね、
隅に置く。




2人は無言のまま佐久真の後ろを歩く。


___〔就寝部屋〕に戻ってきたとき、
手錠は外されていた。

歩くと違和感があって、
なつみは(手錠が無いんだ………)と今更気づく。

手が自由になっても、
全身が自由じゃない。

監舎内は迷路のようだった。

また、違う階段を下りる。

らせん状の階段だ。


地獄へ続く道………

なつみは咲子の後を歩きながら、
このまま朽ちてしねたらどんなに楽だろうかと思う。





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