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仕置きの館
第3章 共同訓練
『では、合同訓練を開始する!
机を移動っ』

どこに居たのか、
東条が室内の隅に姿を現してそう叫んだ。

東条の威圧感のある重低音が響いた。


ガタガタと音がして女性たちが起立した。

トレーを重ねて、
隣の女性に渡していく。


なつみは周りを見て、
慌てて隣の咲子のトレーに自分の食器を重ねた。

素早く、
同じ器ごとに重ねて送っていく。


トレーは下に重ねて。


それはまるで軍隊の訓練さながらのスピード、
一律的だった。




あっという間に最前列にトレー・食器が重ねて置かれ、
職員の男がそれを運び出す。


なつみは(毎回食堂ではこうしなくちゃいけないのね)と思う。







___トレーが片づくと、
女性たちは机の脚を折り畳み始めた。


事務所などで使う、
折りたたみ式の簡易机を並べたのが食事用の机だった。



なつみはモタつきながら、
倣って折り畳んだ。

2人一組で机を持ち、
室内の隅っこに重ねて積んでゆく。


なつみは咲子と机を運んだ。



『あっ!』
慌てていたからか、
机を滑り落とした。

手を伸ばしたけど間に合わない。


ガン!
と大きな音がして机が床に落ちる。


咲子が持っている側だけが、
無事だ。



『___そこ!何してるんだっ』
東条の声が飛んできた。


なつみはビクッとする。


つかつかと佐久真が歩み寄る。


『鮎川なつみ!
罪人という自覚が足りん!』
佐久真は怒鳴るように言うと、
なつみの左頬を張った。

バシッ……


なつみはよろけ、
脚が折れへなへなと座り込む。



『座るな!!
甘えるな、
君は罪人でここは更生施設なのだ!
滑り落としたが故に、
床に傷がついた!!
___償いなさいっ』



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