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仕置きの館
第1章 嵌められた手錠
3時間は経っただろうか?



小型バスはどこを走っているのか、
ガタンゴトンとよく揺れた。



その度に不安な気持ちが増えていく。


声をころして泣いている女性もいた。



なつみはぼう然としたまま、
ただ座っている。



(ユウくん…………
家族に連絡って行くのかな…………)


天国から地獄。
このあいだ、ハワイで友達に囲まれて式を挙げたのに。みんなの笑顔。パパとママ、妹の泣き笑いの表情。

バリ島のシークレットビーチでユウくんと過ごした5日間。透き通った水色の海。






そんな刑罰なんて知らなかった。


朝、指輪を見てにやけてたのに____。





なつみは左手の薬指のダイヤモンドを見る。
もう、くすんだ石にしか見えなかった…………………










『到着!
起立して1列で降車っ』
男が声を挙げる。
バスが止まった。


まるで囚人だ。



5人は反抗する気力もない。

ぞろぞろと並び、言われるままにバスを降りる。
山の中のようだ。
空気が違う。
辺りには木ばかり生えていた。

『あの…………』
黒髪ロングの女性が口を開いた。

皆がびくっとする。

『お手洗いに行きたいんですが…………』



____なつみもトイレに行きたいと思った。
『わたしも』
おずおず声を出す。


男はにやりと笑い、
『これから【館】に入る。
50メートル先だ、それまで我慢しろ』
と勝ち誇ったように言う。


『え、………【館】?』
黒髪ロングの女性が呟いた。



【館】……………??
何の館なんだろう。





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