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潮騒
第13章 願い ー巻き波ー
翌年、昭和十九年。
相変わらず正一郎からも浩二郎からも音沙汰はなく、十九を迎えた良太郎にも赤紙が来る。
唯一の若い男手として家中が良太郎を便りにしていたし、心優しい青年だった為、これには流石に菊乃もヨシも涙が出た。嫁に出たチヨも血相を変えて駆けつけ、キュッと手を握って泣いた。
良太郎からも、まめに手紙が届いたが、やはり南方戦線に配属された、という手紙を最後に消息が途絶える。
周りの男が次々と戦争に取られ、それでもきっと帰ってくるのだと、信じていた。そんな時、一通の手紙が届く。
芦屋に住む、姉のはつ江からだった。
はつ江からの手紙など、郁男を産んだとき以来だ、と思って開くと、そこには…
長男の一郎が戦死した、と書かれていた。田舎にいた時から、闊達な甥っ子だった。
相変わらず正一郎からも浩二郎からも音沙汰はなく、十九を迎えた良太郎にも赤紙が来る。
唯一の若い男手として家中が良太郎を便りにしていたし、心優しい青年だった為、これには流石に菊乃もヨシも涙が出た。嫁に出たチヨも血相を変えて駆けつけ、キュッと手を握って泣いた。
良太郎からも、まめに手紙が届いたが、やはり南方戦線に配属された、という手紙を最後に消息が途絶える。
周りの男が次々と戦争に取られ、それでもきっと帰ってくるのだと、信じていた。そんな時、一通の手紙が届く。
芦屋に住む、姉のはつ江からだった。
はつ江からの手紙など、郁男を産んだとき以来だ、と思って開くと、そこには…
長男の一郎が戦死した、と書かれていた。田舎にいた時から、闊達な甥っ子だった。