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潮騒
第14章 終戦 ー崩れ波ー
「お父ちゃん…?」
「ホンマか?」
「二人とも泥々やから、今お風呂入ってもろとる。きみちゃん、悪いけど、お味噌汁味見してくれる?」
タエは嫌味なままだったが、娘の喜美子は浩二郎に似たのか、素直な娘だった。
釜戸の火を消し、蒸らしながらおかずも作った。いつもと同じ芋ご飯にする予定でサツマイモを刻んであったが、米は白飯に変更したため、使わなかったサツマイモを茹でて塩を絡め、粉ふきいもにした。賽の目の芋はほとんど崩れてしまったが、イモの甘みとほのかな塩気はそれだけでも十分食べられる。
鶏小屋から採ってきた卵を焼く。
サツマイモのつるを甘辛く炒めていると、いい匂いに啓三と郁男が起きてきた。
「ええ匂い!卵焼きや!」
早速摘もうとする郁男の手をピシャリと叩き、
「それはあんたらのやない!」
子供や自分たちには蒸し直した芋ご飯の握り飯と味噌汁。
「また芋ご飯かぁ…母ちゃん、なんで卵焼き食べたらあかんの?」
がっかりと項垂れる啓三と郁男。
「なんや朝から騒がしい!」
イライラとヨシが部屋から出てきても腹も立たなかった。
「ホンマか?」
「二人とも泥々やから、今お風呂入ってもろとる。きみちゃん、悪いけど、お味噌汁味見してくれる?」
タエは嫌味なままだったが、娘の喜美子は浩二郎に似たのか、素直な娘だった。
釜戸の火を消し、蒸らしながらおかずも作った。いつもと同じ芋ご飯にする予定でサツマイモを刻んであったが、米は白飯に変更したため、使わなかったサツマイモを茹でて塩を絡め、粉ふきいもにした。賽の目の芋はほとんど崩れてしまったが、イモの甘みとほのかな塩気はそれだけでも十分食べられる。
鶏小屋から採ってきた卵を焼く。
サツマイモのつるを甘辛く炒めていると、いい匂いに啓三と郁男が起きてきた。
「ええ匂い!卵焼きや!」
早速摘もうとする郁男の手をピシャリと叩き、
「それはあんたらのやない!」
子供や自分たちには蒸し直した芋ご飯の握り飯と味噌汁。
「また芋ご飯かぁ…母ちゃん、なんで卵焼き食べたらあかんの?」
がっかりと項垂れる啓三と郁男。
「なんや朝から騒がしい!」
イライラとヨシが部屋から出てきても腹も立たなかった。