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潮騒
第15章 食卓の風景 ー波間ー
茶碗に入った小さな卵焼きに目を輝かせ、
「ありがとう、きみ姉ちゃん!」
「半分こやで?」
「喜美子!俺の分は?」
郁男が声を上げると喜美子は眉を吊り上げ、
「あんたはいっつも特別扱いされとるんやからちょっとくらい我慢し!啓ちゃんは小さいんやから!な、啓ちゃん」
「うん!」
「兄ちゃんに盗られんうちに早よ食べてまい!」
郁男は啓三から卵焼きを奪おうとしたが、一足早く、喜美子と啓三が笑いあって卵焼きを口に放り込んだ。
「美味しい!」
「くっそぉ…」
そんな子供の喧嘩も、
「飯くらい静かに食わんか、やかましい!」
という正一郎の一喝でぴたりと止む。
二人が出征する前の、食卓に戻ったようだった。
ただ一人、良太郎を除いては…
「ありがとう、きみ姉ちゃん!」
「半分こやで?」
「喜美子!俺の分は?」
郁男が声を上げると喜美子は眉を吊り上げ、
「あんたはいっつも特別扱いされとるんやからちょっとくらい我慢し!啓ちゃんは小さいんやから!な、啓ちゃん」
「うん!」
「兄ちゃんに盗られんうちに早よ食べてまい!」
郁男は啓三から卵焼きを奪おうとしたが、一足早く、喜美子と啓三が笑いあって卵焼きを口に放り込んだ。
「美味しい!」
「くっそぉ…」
そんな子供の喧嘩も、
「飯くらい静かに食わんか、やかましい!」
という正一郎の一喝でぴたりと止む。
二人が出征する前の、食卓に戻ったようだった。
ただ一人、良太郎を除いては…