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潮騒
第4章 嫁 ー細波ー
小馬鹿にしてやれば臍を噛んで悔しがるだろうと思ったタエは、応戦してきた菊乃に目を丸くした。
そして直ぐに、浩二郎を馬鹿にされたと気づき、顔を真っ赤にしてその場から立ち去った。
タエが洗濯を手伝わないことなど、分かりきっていた菊乃は、何事もなかったようにまたしゃがみ込み、首を何度か振ってコキコキと凝りをほぐし、また洗濯に戻った。
流石に八人分の洗濯を終えるともう昼で、洗濯物を干すのもそこそこに菊乃は昼飯の支度に取り掛からねばならない。
飯は朝炊いたのがあるから、味噌汁を温め直し、漬物と梅干しを添える。昼飯は簡素だ。
朝の漁を終えた男たちが帰ってくる。
庭を通り過ぎた正一郎の怒鳴り声が聞こえた。
「おい!何やこの洗濯物の干し方は‼︎ こんなんじゃシワになるやろうが!きちっと叩いて伸ばしてから干さんか!」
正論ではある。が、そんな余裕はない。
そして直ぐに、浩二郎を馬鹿にされたと気づき、顔を真っ赤にしてその場から立ち去った。
タエが洗濯を手伝わないことなど、分かりきっていた菊乃は、何事もなかったようにまたしゃがみ込み、首を何度か振ってコキコキと凝りをほぐし、また洗濯に戻った。
流石に八人分の洗濯を終えるともう昼で、洗濯物を干すのもそこそこに菊乃は昼飯の支度に取り掛からねばならない。
飯は朝炊いたのがあるから、味噌汁を温め直し、漬物と梅干しを添える。昼飯は簡素だ。
朝の漁を終えた男たちが帰ってくる。
庭を通り過ぎた正一郎の怒鳴り声が聞こえた。
「おい!何やこの洗濯物の干し方は‼︎ こんなんじゃシワになるやろうが!きちっと叩いて伸ばしてから干さんか!」
正論ではある。が、そんな余裕はない。