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潮騒
第6章 日常 ー寄せ波ー
菊乃は、嫁としてもよく働いた。
正一郎の着物も、横着せず一番に洗うようになった。
しっかり洗ってすすぎ、先に水の滴る状態で干す。正一郎の着物をピンと張って干してから他の洗濯をした。
炊事も掃除も、慣れれば要領よくできるようになった。
母のトメ譲りの、節約料理も家族には好評だった。
唯一タエだけは、貧乏臭いと眉を顰めたが気にしなかった。働かざる者食うべからず。文句があるなら食べて貰わんで結構、とピシャリと言い切ると、正一郎は腹を抱えて笑い、浩二郎も苦笑いしてタエを宥めた。
畑仕事は昔から手伝っていたし、夏場には海女として海に潜り、貝を獲ったり海藻を収穫するのも得意だった。
姑のヨシと、小姑のタエは意地が悪く、家事を手伝わぬくせに何かと難癖をつけてきたり癪に触ったが、家事の合間、二人の居ない隙を狙って、二人が大切に使っている化粧水などの化粧品をこっそり使って溜飲を下げた。
正一郎の着物も、横着せず一番に洗うようになった。
しっかり洗ってすすぎ、先に水の滴る状態で干す。正一郎の着物をピンと張って干してから他の洗濯をした。
炊事も掃除も、慣れれば要領よくできるようになった。
母のトメ譲りの、節約料理も家族には好評だった。
唯一タエだけは、貧乏臭いと眉を顰めたが気にしなかった。働かざる者食うべからず。文句があるなら食べて貰わんで結構、とピシャリと言い切ると、正一郎は腹を抱えて笑い、浩二郎も苦笑いしてタエを宥めた。
畑仕事は昔から手伝っていたし、夏場には海女として海に潜り、貝を獲ったり海藻を収穫するのも得意だった。
姑のヨシと、小姑のタエは意地が悪く、家事を手伝わぬくせに何かと難癖をつけてきたり癪に触ったが、家事の合間、二人の居ない隙を狙って、二人が大切に使っている化粧水などの化粧品をこっそり使って溜飲を下げた。