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潮騒
第6章 日常 ー寄せ波ー
そうしていつしか二年目の春を迎えた頃、菊乃に懐妊の兆しが見えた。
その頃にはタエも子を産んで戻ってきていたが、暫く実家で過ごしたことで里心がついたらしく、何かと理由をつけては子を連れて実家に帰り、入り浸っていた。
そんな勝手放題の妻も浩二郎は許し、好きにさせていた。菊乃は働かずに文句ばかり一丁前のタエとはどうしても相容れず、タエが里帰りするたびにそのまま出て行けばいいのに、と思った。
菊乃は幸い悪阻も軽く、普段通りに家事をこなした。
ヨシには相変わらずいびられたが、菊乃はヨシひとりなど歯牙にもかけず、チヨとタエが居ないだけで家中は驚くほど平和だった。
ようやく求めていた、夫正一郎と、舅、姑、弟の、静かな暮らしが訪れる。
その頃にはタエも子を産んで戻ってきていたが、暫く実家で過ごしたことで里心がついたらしく、何かと理由をつけては子を連れて実家に帰り、入り浸っていた。
そんな勝手放題の妻も浩二郎は許し、好きにさせていた。菊乃は働かずに文句ばかり一丁前のタエとはどうしても相容れず、タエが里帰りするたびにそのまま出て行けばいいのに、と思った。
菊乃は幸い悪阻も軽く、普段通りに家事をこなした。
ヨシには相変わらずいびられたが、菊乃はヨシひとりなど歯牙にもかけず、チヨとタエが居ないだけで家中は驚くほど平和だった。
ようやく求めていた、夫正一郎と、舅、姑、弟の、静かな暮らしが訪れる。