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潮騒
第7章 衝撃 ー時化ー
「…逢いたかった、正一郎さん!」
「トキエ…!」
己の見知らぬ女と抱き合う正一郎の姿があった。
思わず物陰に隠れ、息を潜めてその様子を伺う。
「…奥さん、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫や。今は畑に居る」
しっかりと抱き合ったまま、熱い接吻を交わすふたり。
「お前のこと、忘れた日は一日たりともない…!」
「…私もや…」
固く抱き合ったふたりの身体が少し離れたとき、女の左手にキラと光るものがあった。
…あれは、結婚指輪とやら言うものかしら…菊乃はそんなハイカラなものは持っていなかったが、結婚の約束として指輪を交換する人も居ると聞いた…となると、どうやら相手の女も結婚しているらしい…
「俺が添いたかったのはお前だけや、トキエ…」
「私も…正一郎さん…正一郎さんが好きや…」
「何年経っても忘れられんのや。あの頃に戻りたい…お前を掠び取ってでも、嫁に遣らすんやなかった…!」
「トキエ…!」
己の見知らぬ女と抱き合う正一郎の姿があった。
思わず物陰に隠れ、息を潜めてその様子を伺う。
「…奥さん、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫や。今は畑に居る」
しっかりと抱き合ったまま、熱い接吻を交わすふたり。
「お前のこと、忘れた日は一日たりともない…!」
「…私もや…」
固く抱き合ったふたりの身体が少し離れたとき、女の左手にキラと光るものがあった。
…あれは、結婚指輪とやら言うものかしら…菊乃はそんなハイカラなものは持っていなかったが、結婚の約束として指輪を交換する人も居ると聞いた…となると、どうやら相手の女も結婚しているらしい…
「俺が添いたかったのはお前だけや、トキエ…」
「私も…正一郎さん…正一郎さんが好きや…」
「何年経っても忘れられんのや。あの頃に戻りたい…お前を掠び取ってでも、嫁に遣らすんやなかった…!」