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潮騒
第7章 衝撃 ー時化ー
「剛志ッ!剛志ッ‼︎」

畑の横の土手に横たえられた剛志は、すでに身体も冷たく、揺すっても、目を開けない。
身体もダランとしている。
正一郎は苦い顔で剛志の胸に耳を付け、チッと舌打ちする。

「もう心臓が止まっとる…」

眉間に皺を寄せたまま呟いた。

「俺がもうちょっと早よ気が付いてやればよかった…ごめんな、ツヨ坊…」

浩二郎が声を震わせ、着物の袖で目を拭う。

苦しかったろう…
助けを求めて水を飲んだのかもしれない。

私が…ちゃんと見てんとあかんかったのに…

「お前がちゃんと見とれば落ちても助かったはずや。お前、子供放ったらかして何処で何しとったんや⁉︎」

正一郎が菊乃の胸ぐらを掴む。今にも殴られそうな勢いに、菊乃は咄嗟に目を瞑り顔を背ける。

「正一郎‼︎ 止めたれ、菊乃さんのせいとちゃう、事故や!」

太一が間に入ってくれなかったら確実に殴られていただろう。
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