この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
潮騒
第9章 正一郎 不在の夏 ー大時化ー

やはりヨシの性格は皆も知るところのようだった。
「悪い事は言わん、これ一個やるから、これ獲ったちゅうて持って行け!」
横においた網の袋から、そこそこの大きさの黒鮑を出し、菊乃に差し出した。
「それはおっちゃんが獲ったやつやろ。貰うわけに行かん」
菊乃はかぶりを振る。
「ほんやけどお前、そんな腹で海に潜るなんぞ、危ないて!」
「大丈夫や、無理はせん、ちょいとだけ潜って、獲れんかったら諦める。身体も濡らさんと帰ったらお義母さんに怒られるから。」
「滑って腹打ったらどないするねや⁉︎やめとけ!」
「そこまで勘は鈍ってないよ。」
菊乃は岩の上で髪を濡らし、水中メガネをつけた。
慎重に足ひれを履き、足を滑らさないようゆっくりと海に入っていく。
浅い部分は少し温かったが、膝まで入るとやはり冷たい。
大きく深呼吸し、しゃがむように徐々に身体を濡らし、海に入っていく。
「悪い事は言わん、これ一個やるから、これ獲ったちゅうて持って行け!」
横においた網の袋から、そこそこの大きさの黒鮑を出し、菊乃に差し出した。
「それはおっちゃんが獲ったやつやろ。貰うわけに行かん」
菊乃はかぶりを振る。
「ほんやけどお前、そんな腹で海に潜るなんぞ、危ないて!」
「大丈夫や、無理はせん、ちょいとだけ潜って、獲れんかったら諦める。身体も濡らさんと帰ったらお義母さんに怒られるから。」
「滑って腹打ったらどないするねや⁉︎やめとけ!」
「そこまで勘は鈍ってないよ。」
菊乃は岩の上で髪を濡らし、水中メガネをつけた。
慎重に足ひれを履き、足を滑らさないようゆっくりと海に入っていく。
浅い部分は少し温かったが、膝まで入るとやはり冷たい。
大きく深呼吸し、しゃがむように徐々に身体を濡らし、海に入っていく。

