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いとかなし
第11章 きみにこい いたもすべな
少し遅れて千津子に合流するランチ。

「黒柳賢都?大阪で採用されて2年で本社抜擢だからね、出来る子だよ?」

「千津子のこと褒めてたよー綺麗ですよねって」

「…あ、そ」

「タイプじゃない?」

「そんな事より、旅行どうだった?」

銘菓を摘みながら、目がキラキラと輝く千津子。

「うん、凄い豪華なとこでびっくりしたけど、楽しかったよ」

「啓司さん、凄かった?」

「…っ!!ちいちゃん!」

あははと大口を開けて笑う千津子に、糸は真っ赤な顔を手で煽いだ。

「幸せそうだね、いいなぁ」

千津子はお弁当からミートボールを摘んだ。

「私も啓司さんみたいな彼氏が欲しいぞー!」

「宮野!飯時に盛ってんじゃねーよ!」

パーテーションの向こうから綾時が顔をだし、嗜める。

「煩いなぁ、口煩いとモテないよ?」

減らず口を叩きながら、穏やかに1日が過ぎていった。
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