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いとかなし
第12章 まちいでても いかにながめん わするなと
自分がどんな体勢なのか、居た堪れなくなる。

真っ赤に熱を持った頬で啓司の方へと向き直れるわけもなく、啓司が先にお風呂へ入るのだけをひたすら願った。

「糸、ここでしたいならそう言って?」

ぶんぶんと首を振ると、啓司は掬うように糸を抱き上げた。

「見ないでっ…」

糸は顔を見られない様に啓司の肩に顔を埋めた。

「虐め甲斐があるよ、本当に」

耳殻をくすぐった声がそのまま下がり、耳の下辺りをまた吸い上げる。

「…んっ…」

「どこもかしこも洗ってあげる」

洗い場に糸を下ろすと、シャワーが温まるのを待ちながら、ボディソープを泡立てる。

こんもりを泡立ったそれを糸の肩に載せ、両手で広げていく。
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