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いとかなし
第15章 ゆうづきし おおいなせそくも
プレゼンのお祝いでとりあえずビールで乾杯する。

適当に料理を見繕う綾時と、早々にお酒を追加する千津子。

「糸さんはお酒強いんですか?」

「ちいちゃん程じゃないよ、ちいちゃんね…」

やたらと千津子の話をする糸に、賢都は困惑していた。

その様子を酒の肴に、綾時と千津子は次々とお酒のグラスを空にした。

糸がトイレに立つと、賢都は二人をじっとりと睨んだ。

「何で俺と千津子さんが付き合う話になってんすか?」

二人は糸の姿が無いことに爆笑している。

「まあまあ、糸はさー啓司さんに愛されてるから、見えてないのよ」

「諦めろ諦めろー」

囃し立てる二人をよそに賢都はビールを煽った。

「望み、ないよ?」

何気にズバリ言ってのける千津子に、賢都は怯まない。
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