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いとかなし
第18章 ますらおも かくこいけるを
一人きりの週末、糸は洗濯と掃除を終えて一息ついていた。

呼び鈴が鳴って、玄関を開けるとそこに居たのは深月だった。

「こんにちは!急に訪ねてごめんなさいね」

「いえ、上がって下さい」

居間に通してお茶を入れると、深月が持ってきた手土産のケーキがその場に並んだ。

何処かで見たことのある水色のストライプの箱から出て来たケーキはどれも美味しそうだ。

「…啓司さんなら今居ないんですが…」

「糸さんに会いに来たの」

「え?」

「啓司と別れるの?」

単刀直入に尋ねる深月。

何故、深月がそれを問うのか。

「最近の啓司ちょっとおかしいから、糸さんなら何か知ってるかなと思って」

そんな事くらいで家まで来るだろうか。
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