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いとかなし
第2章 あふことの たえてしなくは なかなかに
零れる涙は拭かなくてもいい。

抱きしめるふゆが温かくて、心が溶かされたかの様に涙は後から後から溢れ出た。

一頻り泣いたのに心はすっきりしていて、目は腫れぼったかった。

「よかった、ちゃんと泣いた?」

差し出された冷たいタオル、そこには微笑む啓司がいた。

「ちいちゃんが、糸ちゃんが泣かないから心配なんだって、糸ちゃんは何も悪くないんだから、泣いてもいいんだよ?」

「で、も…私、が…歩を選んで…」

「人は変わるものだから」

ふゆとはまた違う温かさに、また涙が溢れる。

大きな掌が糸の頭を撫でる度に、つっかえていた負の感情が小さくなっていくのを確かに感じていた。

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