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いとかなし
第2章 あふことの たえてしなくは なかなかに
湯を流す音が聞こえ始めると、ふかふかの布団にダイブした。

お日様の匂いがすると、すうっと胸が軽くなる気がした。

千津子から、何とはなしに大丈夫のメールが来ていた。

大丈夫と返信して布団をかき抱く。

ぎゅっと目を瞑ると…喉の奥がぎゅっとした。

今目を開けたら…きっと溢れてしまう。

ふんふんと耳をくすぐるそれに目を開けると、ふゆが傍でじっと糸を見つめていた。

「…大丈夫、だよ?そんな…心配…」

ふゆはペロリと糸の目尻を舐め上げた。

「…大丈…ぶ…っぅ…ふ…」

ぼろぼろと堰き止められていた思いが涙となって溢れ出す。

溢れる度にふゆがそれを舐めとる。

「…ふ…ゅ…ありがと…ぅ…」

ふゆを抱いて、糸は泣いた。
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