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いとかなし
第6章 君ならで誰にか見せむ
猫缶を開けてお皿にいれると、缶を開けるだけで飛んでくる猫たちの中にやはり今日もはれの姿はない。

他の子たちが食べ始め、その場から糸が離れると、はれはそっと餌場へと姿を現した。

「はれに嫌われてるのかなぁ…」

「はれは気難しいところがあるからね」

自分の名前が出たことに、夕食を食べている二人をちらりと一瞥するはれ。

「大丈夫?」

はれとの事かと首をかしげる。

「声、掠れてない?喉痛いの?」

「あ…ちょっと乾燥してる感じで」

いがらっぽい喉の痛みは一昨日くらいから始まっていた。

「明日遅いんだ、早めに休んでつらかったら病院行っておいで」

うんと頷いて寝る前には塩が入った緑茶でうがいをして眠った。
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