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いとかなし
第8章 いろならば いづれかいかに
練習終わりの飲み会を断って真っ直ぐ家路を急ぎ、シャワーを浴びて布団に潜り込んだ。

啓司は下におりると、すでに糸が起きていた。

朝食の用意がまだだったのでそのまま車に乗った。

「ふゆ、よる、行ってきます」

今までも啓司が出張の日などは近所の人が散歩や餌やりをしてくれていたらしく、2匹とも特に恋しがる様子はなく見送られた。

ドライブスルーに寄って高速に乗る。

「急に旅行なんてどうしたんですか?」

「んー、昨日の昼間に施術した人がね、最中に身内に不幸があってキャンセルしなきゃいけなくなったんだけど、もうキャンセル料が発生しちゃうし、いい感じの宿だからどう?って譲って貰ったんだ」

啓司の人柄の良さに糸は微笑む。
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