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kiss
第10章 hand

 俺の隣人は美浦直彦。
 春から入社したIT企業の上司にあたり、歳は二十六。
「あれ? 今から出勤か、洋ちゃん」
「まだ寝巻きですか、美浦さん」
 スーツ姿の俺を眺めながら、美浦はがしがしと首元を掻く。
 身長は大体同じで百八十三。
 課内では長身コンビと言われている。
 切り揃えた耳までの黒髪は生まれつきの波があり、輪郭を沿うようにカーブしている。
「今日って燃えないごみだっけ」
「資源ごみですよ、燃えないごみは昨日です」
「うっそ。また来月待ちか……会社で捨てようかな」
「また事務に言われますよ」
 口を曲げながらごみ袋を仕舞おうとした直彦の腰元から、ひょこりと小さな顔が飛び出す。
「洋ちゃん、おはようちゃん!」
「その挨拶はやめようね……」
 ぴしっと手を伸ばした少年が悪戯っぽくはにかむ。
 足立隼。
 小学六年。
 そう、美浦の弟ではない。
 では何故平日朝に美浦の部屋に小学生がいるのか。
「美浦さんもそれ教えないでくださいって言ったじゃないですか」
「くっくっく……いや、可愛いじゃん」
 俺の中学のときに名前でからかわれていたエピソードを聞いてからこの調子だ。
 タンクトップと短パン姿の隼が、欠伸をしながら二人を見上げる。
 それから羨むように溜め息を吐いた。
「直彦と洋ちゃんて本当おっきいね」
 その頭をぽんと撫でて美浦が微笑んだ。
「ハヤは大きくなるなよ」
「えー! なんでっ」
「そのくらいの方が可愛い」
 ロリコン……
 俺は口に出さずに罵った。
 頬を膨らませた隼の目線に合わせて屈んだ美浦が優しい声で言う。
「ハヤもそろそろ登校だよね。送るからランドセル準備して」
「はーい」
 タタッと中に消えた背中を見送る。
 俺はアパートの階段に歩きながら、小声で毒づいた。
「昨晩の音漏れいつになく激しかったんですけど」
「最長記録だったからね」
 爽やかな笑顔に脱力してしまう。
「ホテル行けっつの……」
 足音を響かせて降りながら、隼の甲高いあえぎ声を記憶から消した。
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