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kiss
第1章 kiss
 鼻の先に類沢の顔がある。
 射竦められて、俺は息すらまともに出来なかった。
「どうしてたと思う?」
 髪を掴んでいない方の手が内腿に爪を立てる。
 俺は声を我慢して、眉をひそめた。
 まだ余韻が消えない下半身が強請るように揺れる。
 俺のモノで濡れた類沢の唇に目がいってしまう。
 妖艶なんかじゃ足りない。
 その唇が、沈黙を破った。

「……自分でしてたよ」

 俺はカァアっと熱くなり、どこを見ればいいのかわからなくなる。
 蒼い眼に捕らわれてしまう。
 そんな俺を愛おしむように髪を梳き、横たわらせる。
 ひんやりとした汗の跡に鳥肌立つ。
「なんで瑞希が焦ってるの」
 余裕な類沢に追い込まれていく。
 心臓が早鐘を打つ。
「せ……先生の、せいですッ」
「そうだね。瑞希といると僕まで淫乱になってしまう」
「なっ……」
 次から次へと言葉に酔わされる。
 なんで。
 なんで、先生は平気なんだろう。
「平気じゃないよ」
 心を読まれた。
 類沢は熱い自身を押し当てた。
 急かすように収縮する蕾に。
「こんなに無様に求めてる」
 一気に貫かれた衝撃で、目の前が真っ白になる。
 思い出した快楽が二重になって襲いかかる。
「ああッッ……せ、んせ」
 熱い。
 多分、もうすぐ焼け尽くされてしまう。
 縛られた手をギュッと握る。
「はぁあ……ぅんッ」
「瑞希……締めすぎ」
 類沢の手が反り上がった俺を愛撫する。
 解すように。
「やぁッッ」
 激しい責めに、指一本動かせなくなる。
 目を閉じているのか開いているかもわからない。
 感じるのは繋がった熱だけ。
「先生ッ……せん、せ」
 弱い所にぶつかる度、息が切れる。
 先走りが散って腹に滴る。
 熱い。
 足の指に力が入り、達した瞬間、中に放たれた。
 白くなる意識の中で、俺は気づいた。

 きっと

 俺を酔わせたのはチョコなんかじゃなくて

 冷めないこの熱だということに

 それからは

 決して逃れられないということに

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