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私を見て
第5章 エストの秘密
「どうやらこの国の者では無いようですね~。後ろの方々も。お嬢さんもいらっしゃるようだ」
「若林、連れて戻ってろ」
若林なら、言わんとしてることは伝わる。
エストも長谷川を見せたくない、と言ってた。
それは同感だ。
「行こう」
後ろを振り向けないが、若林が小さな声で長谷川を促しているのがわかる。
そう、そのまま出てってくれ。
「エストの客人だ。婚約者として挨拶くらいさせて欲しいなぁ。ねぇ、お嬢さん??」
「ハーネスト、私の客人だ。勝手なことは止めてくれ」
「挨拶するだけですよ?」
そう言って脇を通り抜けようとする腕を掴んだ。
「…無礼だなぁ。私に…触るな!!」
しっかりと掴んでいたはずの腕はいつの間にか外れていて、さらにいつの間にか俺は天井を見ていた。
上から睨み付ける目と光る………
あぁ、俺はここで死ぬだろう。
降り下ろされる刃を見る勇気などない俺は、目を瞑った。
だから、その瞬間を俺は見ていなかったんだ。