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真珠浪漫物語
第18章 夜啼鳥 -ナイチンゲール-
夜更けになると密やかに雨が降り始めた。
…何もかも包み込むような静かな秋の雨…。
梨央は、白い柔らかいコットンのネグリジェの上に、白いローブを羽織り、綾香の部屋を訪れた。
小さくノックして扉を開けると…
綾香が微笑んで迎えてくれた。
今夜は綾香も白いシルクのシンプルなネグリジェだ。
華やかな美貌が神々しく映えて梨央は思わず見惚れる。
蓄音機から流れる歌は…
もうドイツ人歌手の哀しくも甘いあの歌ではない。
薔薇色の人生…
あの人に抱かれた私…
薔薇色の日々…
梨央は綾香の顔を見た途端、様々な思いが溢れ、綾香の胸に飛び込む。
「…お姉様…!ごめんなさい…!」
綾香は怪訝な顔をする。
「…なぜ謝るの?」
梨央は俯きながら呟く。
「…私、当麻様に意地悪な態度を取ってしまいました…お姉様に会っていただきたくなくて…たくさん失礼なことを申し上げてしまいました…梨央は本当に嫌な子です!意地悪で心が狭くて…なんて醜い…!」
綾香にしがみつきながら涙を流す梨央に
「…泣かないで、梨央…貴方は醜くなんかないわ…」
梨央のきめ細やかな白磁のような頬に流れる涙を優しく払ってやる。
「…私が貴方を不安にさせてしまったからよね。ごめんね、梨央」
梨央は必死で首を振り、引き離されるのを恐れる子供のように綾香の豊かな胸に顔を埋め、しがみついたままだ。
綾香は小さく笑い、宥めるように背中を撫でる。
「…ねえ、梨央…あの時、廊下にいたでしょ?…どうして?」
暫くして小さな声が聞こえる。
「…当麻様に…お姉様を…」
「…?」
「…お姉様を取らないで…て、お姉様は私のものなんです…て申し上げようとしたのです…」
消え入りそうな梨央…。
あんなに引っ込み思案な梨央が…
どれだけ勇気を振り絞ったことだろう…。
梨央への愛しさがどうしようもないほど溢れてくる。
綾香は梨央の華奢な身体を思い切り抱きしめる。
「…梨央…ありがとう!嬉しいわ…そんなに私を思ってくれているのね…」
「…お姉様…!」
梨央はか細い声で続ける。
「…でも…お姉様と当麻様の余りに切ない恋のいきさつを聞いてしまって…当麻様のお姉様を思うお気持ちの強さもお聞きして…私…やはり、お姉様は当麻様とご一緒になられた方がお幸せになれるんじゃないかと思ってしまったの。…だから…扉を開けることができなかった…」
「…梨央…」
…何もかも包み込むような静かな秋の雨…。
梨央は、白い柔らかいコットンのネグリジェの上に、白いローブを羽織り、綾香の部屋を訪れた。
小さくノックして扉を開けると…
綾香が微笑んで迎えてくれた。
今夜は綾香も白いシルクのシンプルなネグリジェだ。
華やかな美貌が神々しく映えて梨央は思わず見惚れる。
蓄音機から流れる歌は…
もうドイツ人歌手の哀しくも甘いあの歌ではない。
薔薇色の人生…
あの人に抱かれた私…
薔薇色の日々…
梨央は綾香の顔を見た途端、様々な思いが溢れ、綾香の胸に飛び込む。
「…お姉様…!ごめんなさい…!」
綾香は怪訝な顔をする。
「…なぜ謝るの?」
梨央は俯きながら呟く。
「…私、当麻様に意地悪な態度を取ってしまいました…お姉様に会っていただきたくなくて…たくさん失礼なことを申し上げてしまいました…梨央は本当に嫌な子です!意地悪で心が狭くて…なんて醜い…!」
綾香にしがみつきながら涙を流す梨央に
「…泣かないで、梨央…貴方は醜くなんかないわ…」
梨央のきめ細やかな白磁のような頬に流れる涙を優しく払ってやる。
「…私が貴方を不安にさせてしまったからよね。ごめんね、梨央」
梨央は必死で首を振り、引き離されるのを恐れる子供のように綾香の豊かな胸に顔を埋め、しがみついたままだ。
綾香は小さく笑い、宥めるように背中を撫でる。
「…ねえ、梨央…あの時、廊下にいたでしょ?…どうして?」
暫くして小さな声が聞こえる。
「…当麻様に…お姉様を…」
「…?」
「…お姉様を取らないで…て、お姉様は私のものなんです…て申し上げようとしたのです…」
消え入りそうな梨央…。
あんなに引っ込み思案な梨央が…
どれだけ勇気を振り絞ったことだろう…。
梨央への愛しさがどうしようもないほど溢れてくる。
綾香は梨央の華奢な身体を思い切り抱きしめる。
「…梨央…ありがとう!嬉しいわ…そんなに私を思ってくれているのね…」
「…お姉様…!」
梨央はか細い声で続ける。
「…でも…お姉様と当麻様の余りに切ない恋のいきさつを聞いてしまって…当麻様のお姉様を思うお気持ちの強さもお聞きして…私…やはり、お姉様は当麻様とご一緒になられた方がお幸せになれるんじゃないかと思ってしまったの。…だから…扉を開けることができなかった…」
「…梨央…」