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真珠浪漫物語
第18章 夜啼鳥 -ナイチンゲール-
…翌朝、綾香と梨央は少し遅めの朝食をダイニングルームで摂っていた。
梨央は白いレースのブラウスに薔薇色の花模様のロングスカート。髪はきちんと結い上げ、髪の根元に香り高いジャスミンの花を飾っている。
明るい朝日の中でその清らかな美しさは照り輝いている。
綾香はスモーキーピンクの襟元が深く開いた洗練されたドレス姿である。
美しい黒髪をやや緩く結い上げ、カメオの髪留めをアクセントにしているので古典的な美しさを醸し出している。
西洋絵画のような美しき二人の伯爵令嬢姉妹に、給仕する下僕たちは今更ながらうっとりと見惚れてしまう。
静かに朝食を摂る二人に、月城が洗練された物腰で近づき、
「…珈琲のお代わりはいかがですか?」
と尋ねる。
「いいえ、結構よ。ありがとう、月城」
綾香は答える。
「…私も結構よ。ありがとう…」
梨央も小さな声で答える。
月城は礼儀正しく会釈し、踵を返そうとして、ふと立ち止まる。
「…ああ、そういえば…昨夜遅くに、綾香様のお部屋に夜啼鳥が迷い込んでいませんでしたか?…可憐な啼き声が聞こえたような気がしたのですが…」
…梨央がスクランブルエッグを掬うフォークを取り落とす。
綾香は澄ました顔でナプキンを唇に当てる。
「…ええ、可愛い夜啼鳥が窓辺に止まっていたので一晩泊めてあげたわ。…夜明けには逃してあげたけれど」
月城はにこやかに微笑み、頷く。
「…左様でございましたか。…それは良かった。…夜啼鳥はとても繊細な鳥です。綾香様、くれぐれもお取扱いにお気をつけください」
「…もちろんだわ」
綾香は微笑み返す。
月城は二人に恭しく一礼し、その場を去った。
梨央が不意に顔を覆う。華奢な指の間から垣間見られる美しい肌は薄桃色に染まっている。
綾香は静かに微笑み、梨央を見つめる。
「…愛しているわ。私の可愛い夜啼鳥さん」
月城は眼鏡を押し上げながら、端正な顔にわずかに笑みを浮かべ、いつものように優雅な足取りでダイニングルームを後にしたのだった。
梨央は白いレースのブラウスに薔薇色の花模様のロングスカート。髪はきちんと結い上げ、髪の根元に香り高いジャスミンの花を飾っている。
明るい朝日の中でその清らかな美しさは照り輝いている。
綾香はスモーキーピンクの襟元が深く開いた洗練されたドレス姿である。
美しい黒髪をやや緩く結い上げ、カメオの髪留めをアクセントにしているので古典的な美しさを醸し出している。
西洋絵画のような美しき二人の伯爵令嬢姉妹に、給仕する下僕たちは今更ながらうっとりと見惚れてしまう。
静かに朝食を摂る二人に、月城が洗練された物腰で近づき、
「…珈琲のお代わりはいかがですか?」
と尋ねる。
「いいえ、結構よ。ありがとう、月城」
綾香は答える。
「…私も結構よ。ありがとう…」
梨央も小さな声で答える。
月城は礼儀正しく会釈し、踵を返そうとして、ふと立ち止まる。
「…ああ、そういえば…昨夜遅くに、綾香様のお部屋に夜啼鳥が迷い込んでいませんでしたか?…可憐な啼き声が聞こえたような気がしたのですが…」
…梨央がスクランブルエッグを掬うフォークを取り落とす。
綾香は澄ました顔でナプキンを唇に当てる。
「…ええ、可愛い夜啼鳥が窓辺に止まっていたので一晩泊めてあげたわ。…夜明けには逃してあげたけれど」
月城はにこやかに微笑み、頷く。
「…左様でございましたか。…それは良かった。…夜啼鳥はとても繊細な鳥です。綾香様、くれぐれもお取扱いにお気をつけください」
「…もちろんだわ」
綾香は微笑み返す。
月城は二人に恭しく一礼し、その場を去った。
梨央が不意に顔を覆う。華奢な指の間から垣間見られる美しい肌は薄桃色に染まっている。
綾香は静かに微笑み、梨央を見つめる。
「…愛しているわ。私の可愛い夜啼鳥さん」
月城は眼鏡を押し上げながら、端正な顔にわずかに笑みを浮かべ、いつものように優雅な足取りでダイニングルームを後にしたのだった。