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真珠浪漫物語
第4章 秘密
楽屋口につけたメルセデスの中で、じっと楽屋口に目を凝らす梨央。
運転手の上田が、不安そうに梨央に話しかける。
「あのう…お嬢様…本当によろしいのですか?お茶会にいらっしゃらないで…月城さんはご存知なのですか?」
梨央は窓に額をつけながら
「大丈夫よ、上田。月城には言ってあるわ。今日は社会見学をしてくるって…お茶会はまた今度で大丈夫なの。…だから月城には何も報告しなくてよくってよ」
「…は、はあ…」
半信半疑な上田である。
…と、楽屋口から一人の美しい女性が現れた。
髪は無造作に下ろし、白いチャイナ襟の半袖ブラウスに濃いグレーのロングスカートを身につけた綾香だ。
先ほどの妖艶な歌姫とは打って変わってシンプルな装い。
だが、目を見張るほど美しい。
「あ!お姉様だわ!」
…普段着姿もお綺麗…。
うっとりする間もなく、梨央は自らドアを開け、綾香の前に走り出ていた。

突然現れた梨央に驚く綾香。
「…何?びっくりした…」
目の前にいる綾香に一瞬怯みながら、しかし勇気を振り絞る。
「あ、あの!…お姉様!…お、お歌…素晴らしかったです!本当に綺麗で切なくて…感動して…涙が出てきてしまいました…」
言ってる側から目に涙を溜める梨央。
焦る綾香。
「…ちょっと…!大げさだよ…そんな…」
「本当です!…私、お姉様のお歌、大好きです!」
真っ直ぐな穢れない眼差しに一瞬引き込まれる綾香。
「…そう…ありがとう…」
わざと素っ気なく答える。
ありがとうと言われ、梨央は真っ赤になる。
「…じゃ…」
そのまま行ってしまおうとする綾香に梨央は思わず声をかけていた。
「あの…!お姉様!…これ…」
振り返る綾香の目に飛び込んできたのは、梨央が握りしめていた白い薔薇の小さなブーケだ。
「急いでいたので…こんなものしかお渡しできないのですが…」
「これ…」
「…私の家の庭に咲いている薔薇です。…本当は赤い薔薇の方がお姉様にはお似合いなのですが…」
おずおずと差し出されたその白い薔薇はまるで梨央のように楚々と、しかし薫り高く咲いている。
思わず受け取る綾香。
「…ありがとう…じゃ…」
今度こそ背中を向けた綾香に、梨央は最後の勇気を振り絞って
「…お姉様!…また…来てもいいですか?」
ゆっくり振り返る綾香。
梨央の一途な瞳と目が合う。
「…勝手にすれば…」
足早に去る綾香。
梨央は嬉しさの余り声が出ない。
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