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真珠浪漫物語
第4章 秘密
綾香の歌が終わり袖に捌けると、バンドの生演奏がゆるやかなジャズを奏で始める。
観客たちも再び賑やかに談笑を始める。
梨央は、1人ぼんやりと夢見るような眼差しで、手を胸の前に組み、椅子に座ったままだ。
ケン坊が気を利かせて近づいてくる。
「…あの…綾香さんを呼びますか?」
はっと我にかえる梨央。
…お姉様…また私がお声をかけたら嫌がられるわね…。
「…い、いいえ…いいの。ありがとう…もう、失礼いたしますわ」
寂しげに笑う梨央に、ケン坊は思わず
「あの!…綾香さんは、あと1時間くらいしたら帰りますよ。楽屋口にいたら会えますから…!」
それを聞いた梨央は嬉しそうに笑った。
「ありがとう…ご親切に感謝いたしますわ」
梨央の汚れない天使のような微笑みを見てケン坊は天にも登る心地になるのだ。
ステージを終えた綾香は、顔を洗い、着替えを済ませる
。上着をひっかけて、くわえ煙草で楽屋を出る。
…あのお姫様…どういうつもりでまた来たんだろう。
夢見るような、それでいて熱い眼差しを綾香に向けていた梨央…。
美しいが儚げで、今にも消えてしまいそうな容姿なのに、その瞳には強い情熱が宿っていた。
思わず引き込まれそうな…。
綾香は慌てて頭を振り払う。
…どうせお姫様の気まぐれさ。
私には関係ない。
まして、姉妹でもなんでもない。
綾香は煙草の煙を吐き出しながら、楽屋口のドアを開ける。
観客たちも再び賑やかに談笑を始める。
梨央は、1人ぼんやりと夢見るような眼差しで、手を胸の前に組み、椅子に座ったままだ。
ケン坊が気を利かせて近づいてくる。
「…あの…綾香さんを呼びますか?」
はっと我にかえる梨央。
…お姉様…また私がお声をかけたら嫌がられるわね…。
「…い、いいえ…いいの。ありがとう…もう、失礼いたしますわ」
寂しげに笑う梨央に、ケン坊は思わず
「あの!…綾香さんは、あと1時間くらいしたら帰りますよ。楽屋口にいたら会えますから…!」
それを聞いた梨央は嬉しそうに笑った。
「ありがとう…ご親切に感謝いたしますわ」
梨央の汚れない天使のような微笑みを見てケン坊は天にも登る心地になるのだ。
ステージを終えた綾香は、顔を洗い、着替えを済ませる
。上着をひっかけて、くわえ煙草で楽屋を出る。
…あのお姫様…どういうつもりでまた来たんだろう。
夢見るような、それでいて熱い眼差しを綾香に向けていた梨央…。
美しいが儚げで、今にも消えてしまいそうな容姿なのに、その瞳には強い情熱が宿っていた。
思わず引き込まれそうな…。
綾香は慌てて頭を振り払う。
…どうせお姫様の気まぐれさ。
私には関係ない。
まして、姉妹でもなんでもない。
綾香は煙草の煙を吐き出しながら、楽屋口のドアを開ける。