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真珠浪漫物語
第5章 秘密と嘘
…その時、店の外に停めたメルセデスの中で木村屋のアンパンを食べながら時間を潰していた上田は信じられない光景を見た。

普段、上田が嫋やかで儚げな姿しか見たことがない伯爵令嬢、梨央がカフェの看板歌手と手を繋ぎ、店から出て来たかと思うとあっと言う間に駆け抜けて行ったのだ。
上田はくわえていたアンパンを思わず落としてしまった。
「お、お嬢様‼︎ど、どちらに行かれるのですか⁉︎」
慌てて車外に出る上田。
二人の後を追おうとする酔客が店のボーイ二人にとりおさえられている。
それを囃し立てる店の野次馬達。
ちょっとしたカオスである。
梨央と綾香の姿はもはや影も形もない。
「お、お嬢様〜ッ!た、大変だ!戻って月城さんに知らせなくては!」
上田は急いで車に戻り、エンジンをかけた。

綾香は梨央の手を握りしめ、浅草の雑多な街を走り抜ける。
梨央がふいに綾香の手を強く引き、息を弾ませながら
「す、すみません…息が切れて…」
しゃがみこんでしまった。
綾香は慌てて立ち止まる。
「苦しい?」
顔を覗き込む。
梨央は息を弾ませているが、嬉しそうに笑っている。
「大丈夫です。…普段走ったことがないので…ちょっと心臓がドキドキしただけです」
綾香は梨央を抱き起こし、民家が立ち並ぶ小道に入る。
「こっちに…」
物陰に梨央を隠し、通りを伺う。
通りは何事もなかったかのようないつもの賑やかな浅草の夕暮れだ。
…どうやらあの酔っぱらいはケン坊と千がなんとかしてくれたみたいだな。
綾香はふっと息をつき、梨央の元に戻る。

梨央は、まるでそこが自分の庭かなにかのように優雅に座り、綾香を眩しそうに見上げてきた。
「…さて…どうする?お姫様」
梨央は恥ずかしそうに、しかし、真っ直ぐな瞳を綾香に向けて口を開いた。
「…私…お姉様のお家に行ってみたいです…」
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