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真珠浪漫物語
第20章 運命の選択
遠ざかるメルセデスを見送りながら、月城は呆れたように、しかし、気遣わしげに呟いた。
「…来週はもうご自分のデビュッタントだというのに、お忙しい方だ…」
梨央はメルセデスが小さくなってもいつまでも、愛しげに見送り、微笑みながら答える。
「…それがお姉様の良いところだわ。…ご自分のことより、困っている方を放っておけないのよ」
月城は、梨央を見下ろし、にこやかに笑う。

「…もう、お悩みは解決しましたか?」
「え?」
梨央は驚いたように月城を見上げる。
月城は、ゆっくりと玄関ホールに入りながら、優しく語りかける。
「…私は綾香様と梨央様のお留守を…この北白川家を命に代えてもお守りいたします。ですから、梨央様は思うように、人生の選択をなさって下さいませ」
「…月城…!」
月城が静かに立ち止まり、梨央を振り返る。
「…お嬢様に人生の最良の選択をしていただく。…それが執事の務めです」
「…月城…」
涙に霞んで月城の顔がよく見えない。
梨央は両手で顔を覆う。
肩を震わせて、静かに涙を流す梨央を月城は優しく抱きしめる。
「…私は幸せだわ…月城や、縣様や…優しい方に護られて…ありがとう…月城…」
月城は幼子をあやすように背中を軽く叩く。
「…どういたしまして。…私は梨央様のお幸せの為に生きているのですから、お礼には及びません」
その言葉を聞いて、梨央は更に涙を流す。

通り掛かりのメイド達が好奇心丸出しで二人を見つめる。
「氷の執事」と異名を取る月城が、お嬢様を優しく宥めている風景などめったに見られるものではないからだ。
それらを片手で追い払いながら、月城は梨央をいつまでも慰め続けるのだった。
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