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真珠浪漫物語
第20章 運命の選択
…デビュッタントを来週に控え、北白川家はいよいよ慌ただしさを増して来た。
綾香と梨央が着るドレスがロンドンの伯爵より届き、そのお直しに東京一のお針子が呼ばれる。
靴、髪飾り、宝石、化粧品など、伯爵の心配りの愛情の篭った最新流行の品々も、支度部屋に並べられ、若いメイド達の羨望の溜息を誘う。
ますみも足りないものはないか、不備はないか、点検に忙しい。
「何しろ、今回のデビュッタントは皇太子殿下、妃殿下がご臨席なのですからね。決して粗相があってはなりません。皇族に連なる北白川伯爵家のご令嬢方はどのお姫様よりも高貴で輝いていなければ!」
ますみの気合いの入れようにすみれは
「大丈夫ですわ、綾香様と梨央様よりお美しくて優雅なご令嬢は社交界広しと言えど決していらっしゃらないでしょう。お二人は私共の誇りです」
と、言葉をかける。
「それはそう。…お二人は本当にどなたよりもお美しく気高いご姉妹ですよ」
ますみはすみれの言葉に満足そうに頷く。
デビュッタントを控えても、綾香は音楽サロンや慈善コンサートに相変わらず引っ張りだこだ。
今日も…
「孤児院の子供たちの慈善コンサートなのよ。寄付金が沢山集まれば、あの子たちの冬支度ができるし、孤児院の暖房も新しくできるからね」
綾香は明るく梨央にウィンクしてみせる。
梨央は綾香の、社会の弱者に心優しい姿勢が大好きだ。
孤児院でのコンサートと言うことで、白いセーターに紺のロングスカートという地味な格好だが、綾香の輝くような美貌は決してくすまない。
むしろ、慈愛深く美しい聖母のような光を放っている。
梨央はうっとりと綾香を見つめ、玄関先まで月城と見送る。
「孤児院の子供達、きっと喜びますわ。お姉様のお歌が一足早いクリスマスプレゼントですわね」
笑いかける梨央を抱きしめ、額に優しくキスをする。
「ありがとう、梨央」
「私も、ドレスのお直しが終わりましたら、会場にまいりますわ」
梨央は綾香をぎゅっと抱きしめる。
綾香の麝香の香りが鼻腔を擽る。
何度抱擁しても、キスを交わしても、綾香の魅惑的な麝香の香りを嗅ぐとドキドキする。
「じゃ、後でね」
綾香は微笑みながら車に乗り込む。
遠ざかるメルセデスを月城と二人で車寄せから見送る。
綾香と梨央が着るドレスがロンドンの伯爵より届き、そのお直しに東京一のお針子が呼ばれる。
靴、髪飾り、宝石、化粧品など、伯爵の心配りの愛情の篭った最新流行の品々も、支度部屋に並べられ、若いメイド達の羨望の溜息を誘う。
ますみも足りないものはないか、不備はないか、点検に忙しい。
「何しろ、今回のデビュッタントは皇太子殿下、妃殿下がご臨席なのですからね。決して粗相があってはなりません。皇族に連なる北白川伯爵家のご令嬢方はどのお姫様よりも高貴で輝いていなければ!」
ますみの気合いの入れようにすみれは
「大丈夫ですわ、綾香様と梨央様よりお美しくて優雅なご令嬢は社交界広しと言えど決していらっしゃらないでしょう。お二人は私共の誇りです」
と、言葉をかける。
「それはそう。…お二人は本当にどなたよりもお美しく気高いご姉妹ですよ」
ますみはすみれの言葉に満足そうに頷く。
デビュッタントを控えても、綾香は音楽サロンや慈善コンサートに相変わらず引っ張りだこだ。
今日も…
「孤児院の子供たちの慈善コンサートなのよ。寄付金が沢山集まれば、あの子たちの冬支度ができるし、孤児院の暖房も新しくできるからね」
綾香は明るく梨央にウィンクしてみせる。
梨央は綾香の、社会の弱者に心優しい姿勢が大好きだ。
孤児院でのコンサートと言うことで、白いセーターに紺のロングスカートという地味な格好だが、綾香の輝くような美貌は決してくすまない。
むしろ、慈愛深く美しい聖母のような光を放っている。
梨央はうっとりと綾香を見つめ、玄関先まで月城と見送る。
「孤児院の子供達、きっと喜びますわ。お姉様のお歌が一足早いクリスマスプレゼントですわね」
笑いかける梨央を抱きしめ、額に優しくキスをする。
「ありがとう、梨央」
「私も、ドレスのお直しが終わりましたら、会場にまいりますわ」
梨央は綾香をぎゅっと抱きしめる。
綾香の麝香の香りが鼻腔を擽る。
何度抱擁しても、キスを交わしても、綾香の魅惑的な麝香の香りを嗅ぐとドキドキする。
「じゃ、後でね」
綾香は微笑みながら車に乗り込む。
遠ざかるメルセデスを月城と二人で車寄せから見送る。