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真珠浪漫物語
第7章 白薔薇の館へ
メルセデスを走らせること小一時間。車はようやく麻布の北白川邸に着いた。
正面玄関前に整列していた下僕の一人が車のドアを外側から開ける。
車から降りたった綾香は思わず声を上げた。
「…何これ…西洋の…お城…?」
横に立つ月城が淡々と説明する。
「こちらのお屋敷は先代の伯爵様が、政府のヨーロッパ視察団の一員でいらした際、イギリス貴族のお屋敷をご覧になり感銘を受けられて、わざわざイギリスの建築家を呼び寄せ、建築材料も全てヨーロッパからお取り寄せになり設計されたものなのです」
「…はあ…」
「でも広すぎて、未だに私も迷子になるほどですの」
梨央が笑う。
「へえ…」
綾香は驚きすぎて言葉にならない。
「お姉様、早くいらして!ばあやに紹介したいから」
梨央は綾香の腕を取り、中に入る。
玄関ホールの前で、濃紺の襟の詰まったドレスを着た品の良い老婦人が二人を待っていた。
梨央が駆け出し、老婦人に抱きつく。
「ばあや、ただいま!」
老婦人は優しく梨央を抱きとめる。
「お嬢様、お帰りなさいませ。…昨夜は少々おいたをされたご様子ですね」
わざと睨む真似をする老婦人。
「だって、どうしてもお姉様にお逢いしたかったんですもの。…お姉様!私のばあやのますみよ。ばあやはこのお屋敷の家政婦も兼ねているの。ばあや、私のお姉様の綾香様よ。今日からお姉様はこのお屋敷で暮らして下さることになったの!」
ますみは綾香に膝を折って恭しくお辞儀する。
「初めまして、綾香様。ますみでございます」
「綾香です。今日からお世話になります」
ますみは綾香を見つめ、優しく笑った。
「…綾香様は旦那様によく似ていらっしゃいますね」
「え?そうですか?」
「旦那様は綾香様のように西洋的なお顔立ちをされていますから…」
と、ホールの正面に飾られている当主のポートレートに視線をやる。
黒い燕尾服にホワイトタイ姿の北白川伯爵だ。
すらっとしていて確かに西洋人と言っても通りそうな彫りの深い美男子である。
「…そうですか…」
…あれが私の父さんか…。
まだ信じられない。私がこんなお屋敷のお嬢様だなんて。
「ますみ、私の隣のお部屋をお姉様のお部屋にしていただこうと思うの。あそこなら全て整っているからすぐに使って頂けるわ…お姉様!ご案内いたしますわ」
梨央が綾香の手を握りしめ、二人は大階段を一歩ずつ昇っていった。
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