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真珠浪漫物語
第7章 白薔薇の館へ
綾香と梨央が月城や従者に付き添われながら家から出て来ると、千が飛び出して来た。
「綾香!どこに行くんだよ!」
「千、…私、このお姫様の…梨央の家に行くことにしたの」
初めて名前を呼んで貰えた梨央は、ぱっと顔を輝かせた。
「綾香、本当にいいのかよ…」
「うん…。私は、お貴族様になりたいわけじゃないけど…でも…梨央が私を必要としてくれているから…」
綾香は梨央を見つめた。
梨央が信じられないものを聞いたように眼を見開く。
純粋培養で美しく穢れを知らない、私とは別世界の妹…。
でも、妹なんだ…。
私を全身全霊で求めてくれる愛しい妹…。
「梨央は私の妹だから…たった一人の大切な…必要としてくれるなら側にいてやりたい」
梨央の瞳からぽろぽろと大粒の涙が流れた。
「…お姉様…!」
梨央は綾香の胸に顔を埋めて泣き出した。
「泣かないでよ、梨央」
綾香は梨央の髪を優しく撫でる。
「…嬉しいんです…私…大好きなお姉様に…妹と言っていただいて…嬉しくて涙が出るんです…」
「…梨央…」
綾香は梨央を強く抱きしめた。
千がぐずぐずと鼻を鳴らす。
「…な、なんだか知らないけど…俺まで泣けて来たよ…綾香が遠い世界に行っちまうのは寂しいけれど…し、幸せになってくれよな!」
綾香が千の頭を叩く。
「何言ってんだよ。今生の別れでもあるまいし。私はまだカフェで唄うんだからいつでも会えるさ」

それまで黙って三人のやり取りを聞いていた月城が眼鏡をキラリと光らせて口を開いた。
「…綾香様、今なんとおっしゃいました?まさかとは思いますが、まだあのカフェでお歌を唄うおつもりですか?」
「そうだけど?」
「とんでもございません!仮にも北白川伯爵令嬢があんな場末のカフェで唄うなんて!世間に知られたらどうなさるおつもりですか⁈」
「どうもしないよ?…てかあんた仮にも私の職場を場末なんて失礼じゃない?昨日は私の家をボロクソに言ってくれたしさ!」
「私は事実を申し上げたまでです」
月城は眼鏡を押し上げ、ツンと澄ます。
「むかつくわあ…この執事…」
綾香と月城が睨み合いをしていると、梨央がくすくす笑いだした。
「二人とも仲良しなのですね」
綾香と月城は同時に振り向く。
「はあ⁈」
「喧嘩するほど仲が良いというではありませんか。二人の気が合って良かったわ。さあ、帰りましょう。お家に」
と、梨央は天使のように微笑んだのだ。
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