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真珠浪漫物語
第8章 メタモルフォーゼ
梨央に導かれて入った部屋は綾香が見たこともないような調度品や家具が品良く配置され、歴史の重みがひしひしと感じるものだった。
高価そうな名画が飾られ、絨毯は歩く足音すら消してしまう滑らかさで、壁紙は明るく上品な若草色で調和されていた。
寝台は広く、飾りも優美なもので、四つの柱の上には天蓋があり、レースがふわりと掛けられていた。
寝具は清潔な白で統一され、いかにも寝心地の良さそうなものだった。
「…すご…」
綾香はあっけに取られながら部屋の中を歩いた。
梨央が綾香の腕を取り、
「お姉様、こちらへ」
と、バルコニーの方へ連れて行く。
梨央が窓を開け放つと、そこには英国式庭園が広々と広がっていた。
遠くには噴水と、東屋が見える。
「わあ…」
綾香が歓声を上げる。
「お父様ご自慢の庭園なのです。奥には薔薇園があります。温室にも様々なお花や植物が…今度ご案内しますね」
「…浅草とは別世界だ…」
梨央が不安げに綾香を見上げる。
「…お気に召しませんでしたか…?」
綾香は笑って、梨央を抱きしめる。
「ううん、すごく素敵な部屋だよ。気に入った」
梨央は赤くなりながら綾香にしがみつく。
「…ここは私の従姉妹が泊まりに来た時によく使う部屋なのです。ですから家具や調度品はこれを機に全て買い替えるよう、月城に指示しておきますわ」
綾香は首を振った。
「もったいないよ。…私はこれで充分。…あんまりキラキラしたものに囲まれたら緊張しちまう」
梨央はくすくす笑った。
そして、じっと綾香を見つめると
「…梨央はこれからは毎日お姉様とご一緒にいられるのですね…」
綾香は優しく答える。
「そうだよ、ずっと一緒だよ」
「…嬉しい…!お姉様…夢みたいですわ…」
「大袈裟だよ、梨央ってば」
綾香の言葉に梨央は首を振り、綾香の腕の中に抱かれる。
「…私、寝ても覚めてもお姉様のことばかり考えていたのです。お姉様のことを考えると胸が苦しくなって夜も眠れなくて…」
綾香は声を出して笑う。
「それじゃまるで、梨央は私に恋しているみたいじゃない」
梨央ははっとする。
「…え…?恋?」
「そうだよ。一日中その人のことを考えて、胸が苦しくなるのは恋だよ。私にそれはないでしょ。…梨央にもその内そんな人が現れるよ」
綾香はさもない様子で言う。

…お姉様に恋?この苦しくて切ない気持ちは…
恋なの…?私はお姉様に恋をしているの?
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