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真珠浪漫物語
第9章 赤薔薇の伯爵令嬢
梨央は綾香の部屋のドアの外から二人のやりとりを見ていた。
綾香が月城の手に手を重ねた瞬間、身体がカッとなるほどの嫉妬の感情が沸き起こった。

…お姉様…!嫌!
梨央は気がつくとドアを開け、部屋に駆け込み、綾香の身体に後ろから抱きついていた。
「…お姉様!お勉強は終わりましたか?」
無邪気な笑顔を装い、綾香に笑いかける。
「…梨央。梨央は?バイオリンのレッスンは終わったの?」
「ええ、終わりましたわ。…ねえ、お姉様。またお歌を歌って?私がピアノを弾きますから…」
「…いいけど…」
綾香は月城を見る。
月城はにこやかに、教本を仕舞った。
「本日のお勉強はここまでにいたしましょう。…綾香様、明日までに課題はなさっておいてくださいね」
「はいはい」
月城の眼鏡が光る。
「はい、は一回で良いのです」
「は〜い!…じゃ、梨央、居間に行こう」
梨央は綾香の腕にしがみつくようにして離さない。
「嬉しい!何を歌ってくださるの?梨央が歌っていただきたい歌で良いのかしら?」
綾香は梨央の頭を軽く抱き寄せる。
「いいよ、お姫様」
「お姉様、大好き!」
梨央のはしゃいだ声が部屋に響く。

部屋を出て行く刹那、月城は梨央が月城に今まで見たことがないような複雑なやや冷たい眼差しを向けたことに気づいた。
…梨央様…
何か怒っていらっしゃるのだろうか…。
綾香様を独占されたいのかな…。
月城はそれが梨央の子供じみた独占欲の感情だと信じて疑わなかった。
…梨央様は綾香様に夢中だな…。
無理もない…。

月城は綾香が触れた手をそっと見る。
まだ、綾香の麝香の残り香があるように思えた。

…あの方は、見る者を魅了せずにはいられない不思議な魅力のある方だ。
美しさと強さとそして…
その稀有な妖しさで…。

そこまで思いに耽り、しかしふと我に返り、狼狽する。
…なにを馬鹿なことを考えているのだ。
あの方は梨央様のお姉様で、北白川伯爵令嬢だ。
私とは身分が違う…。

思いを振り払うように月城は頭を振り、テーブルの上の教本類を片し、綾香の部屋を静かに後にした。
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