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真珠浪漫物語
第13章 茶碗の中の嵐
北白川伯爵家では最近伯爵令嬢が一人増え、その令嬢は大層な美人であると社交界では持ちきりの噂となっているらしい。
滅多なことでは表に出ない深窓の美貌の令嬢、梨央と共にその姿を一目でも垣間見たいと熱望する貴族のお歴々は今や星の数ほどである…。

「…というのがこのお茶会や夜会の招待状の数に現れているのでしょう」
執事の月城が優雅な手つきで銀の盆に載せた招待状の束を綾香に手渡した。

ここは北白川伯爵邸の英国式庭園。
見事に晴れ渡る空の下、四方に柱を立て日除けの白いチュールの天蓋をかけた中でテーブルセットを置き、優雅にお茶を飲むのは伯爵家の美貌の姉妹、綾香と梨央である。

綾香はラベンダー色のアフタヌーンドレスを身に纏い、アップした髪を少しカールさせアメジストの大きな髪飾りで留めている。帽子はやはりラベンダー色のつばの大きな優雅なもので飾り花はそれに合わせてライラックだ。
どこから見ても美しき優雅な伯爵令嬢だが…

招待状の束をトランプのように広げ、呆れたように呟く。
「…お貴族様は暇なんだねえ…お茶を飲むくらいで一々ご招待すんの?浅草の長屋なんかみんな勝手に上がり込んでお茶飲みしてたけどねえ…まあ、番茶と饅頭だけどさ」
…気を抜くと浅草時代の口調が出てしまう綾香である。

横に座る梨央が思わず笑い出す。
鈴を転がすような声で楽しげに笑う梨央は、白いレースがふんだんに使われたアフタヌーンドレス姿…胸にカメオのブローチを付けている…髪は自然に下ろされ、鼈甲のカチューシャで留められている。
白いつば広の帽子には透けるシフォンが巻かれ、それが風に揺れる様はうっとりするほど可憐であった。

月城がティーポットのお湯の量をチェックしながらも綾香に釘を刺すことを忘れない。
「…綾香様は油断をなさると昔のお言葉遣いになられるのが困りものですね…」
梨央が不安気に尋ねる。
「…それで…お茶会に行かなくてはならないの?」
梨央は大の引っ込み思案である。
月城は穏やかに説明する。
「今年の冬にはお二人には政府主催の舞踏会に参加していただく予定です。こちらももうすでに招待状が届いております。
それがお二人の正式なデビュッタントとなりますので、その前に親しい方のお茶会のご招待を受け、様々な方にお顔を知って頂くことは得策かと存じますが…」



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