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真珠浪漫物語
第13章 茶碗の中の嵐
「私はなんでもいいわ。梨央、決めて」
綾香は興味なさげに呟き、招待状の束を梨央に渡す。
それを受け取りながら、思慮深く言葉を選び
「…そうですわね…いずれ行かなければならないのでしたら…」
と、一通の招待状を選んだ。
「叶男爵夫人のお茶会にいたします」
招待状をその白く華奢な手で開きながら
「叶夫人はお母様の女学生時代のご学友でしたし、私のことも何くれとなくご心配して下さっていたので…。お姉様をご紹介するのなら、夫人に最初にご紹介したいわ」
と微笑んだ。
月城は目礼しながら
「それは最良のご選択かと…。梨央様、早速夫人宛にお返事を…」
梨央は頷いた。
月城はきびきびした口調で
「それでは、お茶会用のドレスをご新調なさったほうがよろしいですね。何しろ綾香様は初のお茶会です。北白川伯爵家のご令嬢としてどなたがご覧になっても恥ずかしくない装いをしていただかなくては。…梨央様もお茶会は一年ぶりくらいですし。明日にでも三越の外商を呼びます」
では…と優雅に一礼し、月城は屋敷に戻って行った。
「…なんだかあの人張り切ってない?」
やや呆れ顔で月城を見送る綾香。
梨央は微笑みながら、綾香のカップに薫り高いダージリンを注ぐ。
「月城の悲願は私を社交界にデビューさせることですから…。その一歩が整い嬉しいのでしょう」
「ふうん…執事さんは大変だね」
「…私が病弱で内気な性格なので…月城には苦労をかけています…もっと快活な性格ならお茶会や夜会もこの家で開けるのに…。下僕やメイドも変わりばえしない生活でつまらないでしょうね…申し訳ないわ」
やや哀しげに俯く梨央の手を綾香は優しく握る。
「…そんなこと誰も思ってないよ」
「…お姉様…」
「すみれが言ってたよ。梨央が優しくて思いやりが深いからこの屋敷は働きやすいって皆が言ってるって。梨央が元気で過ごしてくれるのが一番の願いだって」
梨央は思わず涙ぐむ。
「…本当に…?」
綾香は梨央を優しく抱きしめる。
「本当だよ。だから梨央はもっと自信を持って」
「…お姉様…!」
「それに…」
綾香は妖しく微笑みながら梨央の顎を引き寄せ、そっとキスをする。
「…あ…っ…んん…っ」
「…私の梨央はこんなに綺麗で可愛いんだから…」
「…は…んんっ…お姉…さ…」
濃厚なキスへと変化するのに、梨央は甘い声をあげるしかなかったがチュールの天蓋が全てを隠してくれた。
綾香は興味なさげに呟き、招待状の束を梨央に渡す。
それを受け取りながら、思慮深く言葉を選び
「…そうですわね…いずれ行かなければならないのでしたら…」
と、一通の招待状を選んだ。
「叶男爵夫人のお茶会にいたします」
招待状をその白く華奢な手で開きながら
「叶夫人はお母様の女学生時代のご学友でしたし、私のことも何くれとなくご心配して下さっていたので…。お姉様をご紹介するのなら、夫人に最初にご紹介したいわ」
と微笑んだ。
月城は目礼しながら
「それは最良のご選択かと…。梨央様、早速夫人宛にお返事を…」
梨央は頷いた。
月城はきびきびした口調で
「それでは、お茶会用のドレスをご新調なさったほうがよろしいですね。何しろ綾香様は初のお茶会です。北白川伯爵家のご令嬢としてどなたがご覧になっても恥ずかしくない装いをしていただかなくては。…梨央様もお茶会は一年ぶりくらいですし。明日にでも三越の外商を呼びます」
では…と優雅に一礼し、月城は屋敷に戻って行った。
「…なんだかあの人張り切ってない?」
やや呆れ顔で月城を見送る綾香。
梨央は微笑みながら、綾香のカップに薫り高いダージリンを注ぐ。
「月城の悲願は私を社交界にデビューさせることですから…。その一歩が整い嬉しいのでしょう」
「ふうん…執事さんは大変だね」
「…私が病弱で内気な性格なので…月城には苦労をかけています…もっと快活な性格ならお茶会や夜会もこの家で開けるのに…。下僕やメイドも変わりばえしない生活でつまらないでしょうね…申し訳ないわ」
やや哀しげに俯く梨央の手を綾香は優しく握る。
「…そんなこと誰も思ってないよ」
「…お姉様…」
「すみれが言ってたよ。梨央が優しくて思いやりが深いからこの屋敷は働きやすいって皆が言ってるって。梨央が元気で過ごしてくれるのが一番の願いだって」
梨央は思わず涙ぐむ。
「…本当に…?」
綾香は梨央を優しく抱きしめる。
「本当だよ。だから梨央はもっと自信を持って」
「…お姉様…!」
「それに…」
綾香は妖しく微笑みながら梨央の顎を引き寄せ、そっとキスをする。
「…あ…っ…んん…っ」
「…私の梨央はこんなに綺麗で可愛いんだから…」
「…は…んんっ…お姉…さ…」
濃厚なキスへと変化するのに、梨央は甘い声をあげるしかなかったがチュールの天蓋が全てを隠してくれた。